浄瑠璃を語る拾われた骸骨
どんな伝承か
浪人の侍が国々を廻るうち、山中で難儀をして一つの骸骨を拾い上げた。自分も浪人の身であればいつ他国の山野に骨を晒すかわからぬと世の無常を感じ、時折り風呂敷包みから出しては拝んでいた。あるとき骸骨が物を言い出し、いつも拝まれている礼に浄瑠璃を語るから広い国へ出て自分のことを触れ歩けと告げた。侍は人集りの場で語らせて大いに儲けたが、金が貯まるにつれ骸骨を疎んじるようになった。やがて城に呼ばれると骸骨は口を利かず、偽り者として打首にされかけたその時、男というものは急くものではないと言った。侍は助けられ、その殿様に召し抱えられて立身した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。