位箱を移された二匹の稲荷狐
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どんな伝承か
頓平稲荷と八幡稲荷という二匹の狐が隣り合って住んでいた。頓平には位があり八幡には位がなかったので、睦まじく暮らしながらも位のないほうが下目に見られていた。ある日、棲穴の近くで木を伐っていた樵夫が、頓平が位のないことを盾に八幡をひどく蔑む声を聞き、真の力量は八幡にあるのにと憤って戒めてやろうと思った。翌日、樵夫は烏帽子垂衣に早馬という装いで頓平のもとへ行き、位を返せと言って位箱を取り返し、隣穴の八幡に与えて稲荷大明神を名乗らせた。頓平が本山に請願しても取り合われず、以後はただの野狐となって暮らしたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・大正・昭和(東北民俗))
『遠野物語』の語り手・佐々木喜善が大正昭和期に郷里岩手で採集した東北の昔話・伝説の集成。冒頭の『奥州のザシキワラシの話』では、旧家の座敷に出没し家の盛衰を司るザシキワラシの諸相を集める。『江刺郡昔話』『紫波郡昔話』に続き、『東奥異聞』では不思議な縁女の話・黄金の牛・磐司磐三郎・千曳石・赤子抱き・偽汽車など奇譚を収める。
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