草餅で馬にされた伊勢参宮
どんな伝承か
伊勢参宮に出た三人連れが、見も知らぬ町外れの安宿に泊まり草餅を振る舞われた。翌朝目覚めると三人とも馬になっており、口からは嘶きしか出ない。宿の主人は馬喰に売り、馬たちは普請場で砂利を運ばされた。ある夜、厩を抜け出して浄瑠璃を聞きに行った一頭が、沼のほとりの朝日の当たる縞の薄を食めば元に戻るという文句を聞き、尋ね当てて食い、人間に返った。薄を持ち帰って仲間も戻し、三人は宿の草餅を盗み出して別の菓子に搗き交ぜさせ、伊勢詣りの帰りに土産と偽って食わせた。宿の者は皆馬になり、尻を打たれて野馬となった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。