枡形で和尚坊子を産む牝馬
どんな伝承か
ある山寺の和尚は牝馬を一匹飼って毎夜その馬に通っていた。それを知った小僧が悪戯をして焼火箸を馬の尻に当て、用に立たなくしてしまった。和尚は小僧を叱りながらも、もう役に立たぬから今度の市に曳いて行って売って来いと言いつけた。小僧は町へ行って馬を売り、その金で団子や餅を買って食べ、すっかり使い果たして帰った。和尚が金を出せと言うと、小僧は首を縮めて、今日ほど赤恥をかいたことはない、あの牝馬が町の入口の枡形で急に踏ん張って和尚坊子を産み落としたので、通る人が皆大笑いし、恥ずかしくて馬を放り出して帰って来たと答えた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。