枕を頭に結ぶ作法という言い抜け
どんな伝承か
馬鹿智が舅の家に泊まり、初めて枕を使ったので傍らの妻に名を尋ねた。妻は自分の名を問われたと思い、おこまだと答えた。滑ってならぬので褌で枕を頭に結びつけて寝、そのまま朝の膳に向かったので家中の大笑いとなり、智は逃げ帰って娘は返されなかった。困った智の朋輩たちは、雪の日に鹿追いを口実にその家へ泊まり、翌朝そろって箸で枕を頭に結んで起きて来て、これは客が礼を尽くす作法だと言った。舅は智も馬鹿ではないと思い直し、娘を返した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。