名笛の男と曼陀羅を織る女房の難題
どんな伝承か
笛に凝って身上を吹き飛ばした藤平は、日本に三本しかない名笛を携えて諸国を巡り、唐天竺まで渡った。久しぶりに帰郷すると両親は既に亡く、墓には石塔もなかった。ある日美しい女が訪ねて来て女房になり、機を織って三十三観音の曼陀羅と呼ぶ布を織り上げた。評判が殿様の耳に入り、灰縄千把、打たずに鳴る太鼓と難題が続いたが、女房はことごとく解いた。最後に天の雷神九の頭を連れて来いと命じられると、女房は紫の扇で雲を招いて天へ上り、雷神を伴って御殿を吹き飛ばした。藤平は郷を与えられ長者となった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。