御水神の申し子となった田螺の婿
どんな伝承か
長者の名子である貧しい夫婦が、蛙でも田螺でもよいから子が欲しいと御水神に願をかけ、女房は田で腹を痛めて一匹の田螺を産んだ。田螺の子は二十年たっても大きくならなかったが、ある日物を言い、父に代わって年貢米を馬三頭で長者の家へ運んだ。長者はその不思議に感じ入り、娘の一人を嫁にやると約束した。末娘が嫁ぎ、四月八日の薬師の祭礼に夫を帯に入れて参ると、鳥居の前に置いた田螺が消えた。娘が田を探して嘆いていると、水神の申し子が人の姿になって現れ、二人は町で商いをして長者と呼ばれた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。