母が遺した皮袋のふしぎな力
どんな伝承か
長者の家に奉公する孝行息子が、飯を懐にこぼして持ち帰り母を養っていた。母は臨終に、これはお前の生まれた所であり、一生人に見せずに来た物だと言って、薄毛の生えた醜い物を残した。息子はそれを陰干しにし、熊の皮のような巾着に仕立てて火打道具を入れ、腰に下げていた。牧山で牛が離れなくなり死にかけた時、煙草を吸おうと巾着の口を開けると牛はぽんと離れた。後に長者の婿と娘が寝所から出ず抱き合ったまま倒れていた際も、息子が巾着の口を開くと二人は離れ、息子が改めて婿に直された。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。