佐比内の片沢に出る頭ばかりの蛇
どんな伝承か
河原の某という者が、朝草刈りに片沢という所へ行き、いつものように草を刈って背負って帰り、馬に食わせようとして見ると、胴ばかりの蛇が刈草の中に入っていた。次の朝また片沢へ行くと、胴のない薬打槌のような格好の蛇が、目を皿のようにして睨んでいた。昨日の蛇だと思い、これからこの沢には入らない、祠を建てて祭るから祟らないでくれと言って帰った。何代か後、喜代人という人が言い伝えを聞かずに草刈りに行き、頭ばかりの蛇を見て病みついて死んだ。以来そこの草は刈らないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。