田螺に言い負けて土に潜った野老
どんな伝承か
昔、田螺と野老が隣同士であった。或る時、野老が田螺に向かい、ツブツブと渋たれ川のごみかぶり、尻がよじれておかしいと歌をかけた。すると田螺は、野老どの、あまり戯れが過ぎると体の毛を抜かれるぞと返した。これを聞いた野老は怖じ気づき、今のように土の中に潜り込んだという。著者は、真澄遊覧記に胆沢郡あたりで子供から聞いた兎と田螺の同じ掛歌があるのを面白く思い、村で聞き合わせてこの類の話を二、三知ったと記す。本話は家の老母から聞いたもので、同じ所の古屋敷万十郎は歌の部分だけを別の文句で覚えていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。