尾を氷に取られた狐と獺の馳走
どんな伝承か
或る時、獺と狐が路で行き会い、冬の夜長に互いを呼ばれ合おうと約束した。初めの晩、獺は寒中の川に入って雑魚を捕り、狐を存分にもてなした。次の晩、獺が行くと狐は空守役が告がったと言い、その次の晩は地守役だと言って、何も出さずに帰した。やがて狐が獺の所へ来て魚の捕り方を教えろと言うので、獺は、冷える晩に長者の川戸で尾を水に浸していれば魚が食いつくと教えた。狐は言われた通り尾を浸し、流れて来る薄氷を魚と思って欲を張るうち夜が明け、尾が氷に張りついて抜けず、水汲みに来た嫁に担い棒で叩き殺された。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。