釜と娘と馬に化けた狐の恩返し
どんな伝承か
或る所の貧しい爺が山で柴を刈って暮らしていた。或る日、村の子供三人が狐を捕らえて責めているのを見て、一人に百文ずつ与えて買い取り、山へ放してやった。翌日、狐は恩返しを申し出て、まず唐銅の釜に化けて寺へ売られたが、小僧に砂で磨かれて逃げ帰った。次には美しい娘に化けて町の遊女屋へ百両で売られ、節句に里帰りと偽って戻った。最後は青馬に化けて遠国の長者へ百両で売られ、重い荷を負わされて峠で倒れ、そのまま姿を消した。爺は近郷きっての長者となり、屋敷内に御堂を建てて毎月十九日に狐の後生を祈ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。