唐で獅子の首を得た日本の狐
どんな伝承か
或る時、日本の狐が唐に渡って住んでいた。或る日、山野の獣が大勢集まって自慢話を始めると、獅子は、一声唸れば十里四方が地震になり人家の鍋釜も引っくり返ると威張った。虎も千里の藪を一走りすると誇る。そこへ日本の狐が、獅子親方も虎兄貴も自分の手業には及ぶまいと言い、虎と走せ較べをした。狐はいつの間にか虎の背に飛び乗り、果てに着く間際に飛び降りて先に出たので虎の負けとなった。怒った獅子が渾身の力で吠えると、勢い余って首が抜けて飛んだ。狐はその首を背負って日本へ帰り、それが祭礼で被る獅子頭だという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。