黄金に変わる吹花と奥方
どんな伝承か
殿様の奥方が身重の折、御殿の広間の祝いの式で、腹の重みのために殿様の前を通るとき思わず粗相の音を立てた。殿様は立腹して実家に下れと言い渡し、奥方は泣く泣く里に帰り、まもなく男の子を産んだ。世間が父無し子と陰口を叩くので、子供は母から昔のことを聞き、一心に学問をした。やがて色紙で花を作り、殿様の庭前で黄金の成る吹花を売ろうと触れ、殿様の前で吹くと花はたちまち黄金となって庭一杯に散りばめられた。子が素性を明かすと殿様は非を悟り、奥方を呼び戻してその子を若殿にし、仲睦まじく暮らしたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。