橡の実が流れ続けるきりなし話
どんな伝承か
ある所の谷川の川端に大きな橡の木が一本あり、その木に実がたくさん鈴なりになっていた。その木にボウアと風が吹いて来ると、橡の実が一つボタンと川に落ち、ツプンと沈み、ツポリと転回して、ツンプコ、カンプコと川下の方へ流れて行った。この調子で実が風に吹かれて落ち、沈んで浮き上がり流れてゆく様子を、際限なく語り続けてゆく。子供に昔話をせがまれて種の尽きた爺婆が、機転を利かせて即興で作った類の話だという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。