おばあさんに化けて犬をなでたむじな
どんな伝承か
岩富の年寄りは昔からお題目のために寺へ集まり、皆そろって住職の太鼓に合わせて題目を唱え、先祖を拝んだものである。あるお題目の日、可愛がっていた白い犬を連れて寺へ行った老婆が、何げなく山門の白を見ると、そのそばに一匹のむじなが後足で立ち、前足で白の頭をちょいちょいつついている。むじなが老婆に化けて犬の頭を撫でているのであり、白はてっきり老婆と思い込んでいた。見かねた老婆が本堂から「白、しめろっ」と大声で叫ぶと、白は一瞬きょとんとしたがとっさに正気に戻り、むじなの正体を見破って首をくわえ、二度三度と大きく振り回した。まもなくむじなは息絶えたという。
原典より
むじながおばあさんに化けて、犬の頭をなぜているのである。—— 佐倉市史 民俗編――伝説・怪異(佐倉市(編)・佐倉市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐倉市史 民俗編――伝説・怪異(佐倉市(編)・佐倉市史)
『佐倉市史 民俗編――伝説・怪異』は、千葉県佐倉市の市史の民俗編のうち、第七章「民俗知識」と第八章「口承文芸」の伝説の節である。市内で採録した吉凶の予兆やまじない、民間薬、天気の言い伝えと、狐や狸の化かし、デーダラボーの足跡、岩富の首なし塚、天狗、狐火、印旛沼のカワボタルなどの伝説を収める。伝説は文化財保護委員会の分類に倣って自然伝説・歴史的伝説・信仰伝説に分け、終わりに村々の禁忌を置く。