焚火に呪文を唱えた火伏せの呪い
どんな伝承か
小東平二から、松住権現の神格が一つ上がって祝いの祭りも済んだので参ろうと誘われ、書き手は住家の兄弟や跡取りの勝らと千丈寺山に登った。標高六百メートル近い山の道は獣道のように険しく、書き手は長年の喘息で肺活量が落ちていたが、不思議なほど楽に登れたという。権現が迎えに来たのか、暗示にかかったのかは自分でも分からないとしている。祭りを終えて下りるとき、小東は燃え残りの丸太から熾を叩き落として真ん中に集め、丸太を周りに並べると、呪文を唱えて九字らしきものを切り、気合いとともにこれで火は大丈夫だと言った。案じたのは書き手だけで、住は火伏せのまじないをしてもらったから平気だと笑ったという。
原典より
ただ、お祭りを終って下山する時、燃え残りの丸太のオキ(熾)を叩き落して中央に集め、丸太は周囲に並べた後で小東が呪文を唱えながらクジ(九字?)を切り、…—— 兵庫県民俗調査報告8――伝説(兵庫県(編)・兵庫県民俗調査報告) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
兵庫県民俗調査報告8――伝説(兵庫県(編)・兵庫県民俗調査報告)
『兵庫県民俗調査報告8――伝説』は、兵庫県の民俗調査報告の一冊のうち、第10章「口頭伝承」を収めたものである。三田市の乙原・小野・尼寺・青野・末の各地区を対象に、集落の発祥や神社、廃寺、城跡にまつわる伝説、天狗に導かれたという松住大権現、狐狸の怪、狼の話などを、聞き書きと『門野氏郷土物語』などの郷土の記録から記す。伝説のあとに昔話とわらべ歌を続け、わらべ歌は地元の中学校生徒会の協力で集めた尻とり歌や羽根つき歌を載せる。