村人に提灯を持たせた押し込み強盗
どんな伝承か
新福寺では、昔、押し込み強盗が出回った時期があった。四、五人で押し入り、逆らえば斬りつけるので、家の者は遠くへ逃げた。遅くまで灯りがついている家が狙われるため早めに灯を消し、銭は甕に入れて縁の下へ隠し、強盗に渡すための銭を別に包んでおく家もあった。質屋と金貸しを営むアブラ屋は、吉田まで他人の畑を踏まずに行けるほどの金持ちで、もっともよく狙われた。強盗は村の者を脅して道案内に使ったが、その提灯持ちが誰だったかは分からずじまいだったという。
原典より
村の中の者を脅して案内をさせてやって来るのだから困ったものだった。—— 千代田村の民俗――伝説・世間話(群馬県民俗調査報告書 第14集・群馬県民俗調査報告書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
千代田村の民俗――伝説・世間話(群馬県民俗調査報告書 第14集・群馬県民俗調査報告書)
『千代田村の民俗――伝説・世間話』は、利根川沿いの千代田村で行われた民俗調査の報告から、言語伝承の章を中心に抜き出したテキストである。赤岩・舞木・瀬戸井・福島などで聞いた長良神社や光恩寺、片目の白蛇、カクレザト、河童の伝説と、オトカ(狐)に化かされた話、大食・大力・変わり者の世間話、諺や洒落を、採集した集落名を括弧で添えて短く記す。冒頭には正月の松飾りと大晦日の行事の記事が、途中の文から始まる形で残る。