歌で博奕打を釣った質屋の婆
どんな伝承か
小金を回して質屋を始めた隠居の婆のもとへ、博奕打がただの瓢箪を黄金の瓢箪だと言い張って持ち込み、百両を借りたまま請け出しに来なかった。困った婆は一計を案じ、近所の子どもたちに菓子を与えて、質屋の婆が黄金の瓢箪をなくした、請け人が来たらどうするだろう、という歌を教えて流行らせた。歌を聞いた博奕打はしめたと喜び、さっそく掛け合いに出かけた。婆は困り顔で酒肴を出し、奥へ引っ込んだままなかなか出てこない。待ちきれない博奕打が百両と利息をここに置くから質物を早く出せと怒鳴ると、婆はようやく奥から瓢箪を持ってきて渡し、博奕打は舌打ちしながら持ち帰るしかなかったという。
原典より
或日一人の博奕打が一個のただの瓢箪を持って来て、これは黄金の(瓢箪)だから百両借せと言って、遂々婆様から百両借り出して行った。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。