つけひも小僧
どんな伝承か
南佐久郡臼田町田口の大奈良では、日の暮れ方に、つけひも(和服の胴のところに縫いつけてあるひも)を解いて胸をあらわに出した七、八歳ほどの童子が道を歩いていたという。薄暮なので子供の姿もさだかではない。そのひもを結んでやろうと近づくと、すうっと風のように逃げる。といって捕まらぬほどの速さでもなく、なんなく捕まりそうなので再び追う。追う人はしまいには憑かれたようになり、一晩中その童を追い歩いて、朝になって帰る始末となる。この童をつけひも小僧といい、夕方遅くまで遊ぶ子には「つけひも小僧が出るから、早く家へ帰れ」と戒めたという。
原典より
田口の大奈良で日の暮れ方、つけひも(和服の胴のところに縫いつけてあるひも)を解いて、胸をあらわに出した七、八歳の童子が道を歩く、薄暮であるから子供の姿もさだかではない。—— 南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌)
『南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話』は、長野県南佐久郡の郡誌民俗編から、第十三章「伝説と歌謡」の昔話・伝説・世間話の部分を収めたものである。郡内に伝わる鳥呑み爺や古屋のもりなど十一話の昔話、離山・白駒の池・おかんばあさんなどの伝説、光り物・あずきとぎ・天狗・かっぱ・狐火・家つき童子などの世間話を集める。伝説の後半には藤沢衛彦編『日本伝説叢書・信濃の巻』から佐久に関わる話を原文のまま引き、世間話は話題ごとに体験談を並べる。