峠で引き返した江戸と大阪の蛙
どんな伝承か
大阪見物に出かけた江戸の蛙が箱根八里の峠の頂で休んでいると、大阪から江戸見物に向かう大きな蛙がやって来た。互いに国自慢を始め、どちらも人が多く家も多く海もあるいい所だと言い張る。箱根の峠は一番高い所だから、ここから互いの町を見てみようということになり、二匹は後ろ足で立ち上がった。ところが蛙の目は頭の上の後ろ寄りに付いているため、前ではなく後ろがよく見える。江戸の蛙は大阪を見たつもりで江戸を、大阪の蛙は江戸を見たつもりで大阪を眺め、どちらも同じ景色だと思い込んだ。わざわざ見物に行くまでもないと、二匹はもと来た道を帰っていった。蛙をかえると呼ぶのはこのためだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説(南郷村(編)・南郷村史)
『南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説』は、南郷村の村史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。奥会津に語られる昔話を方言のまま書きとめ、きのこの化け物、食わず女房、三枚のお札、天女の羽衣などを語り手の地区と名を添えて載せ、伝説では高倉宮以仁王、蛍堂、箱渕のきつね、萩山稲荷の萩太郎、天狗の飛礫などを伝える。昔話と第二節「伝説」に分かれ、末尾に参考資料の一覧を付す。