峠で引き返した江戸と大阪の蛙
どんな伝承か
大阪見物に出かけた江戸の蛙が箱根八里の峠の頂で休んでいると、大阪から江戸見物に向かう大きな蛙がやって来た。互いに国自慢を始め、どちらも人が多く家も多く海もあるいい所だと言い張る。箱根の峠は一番高い所だから、ここから互いの町を見てみようということになり、二匹は後ろ足で立ち上がった。ところが蛙の目は頭の上の後ろ寄りに付いているため、前ではなく後ろがよく見える。江戸の蛙は大阪を見たつもりで江戸を、大阪の蛙は江戸を見たつもりで大阪を眺め、どちらも同じ景色だと思い込んだ。わざわざ見物に行くまでもないと、二匹はもと来た道を帰っていった。蛙をかえると呼ぶのはこのためだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説(南郷村(編)・南郷村史・自治体史(民俗))
福島県南郷村(奥会津)に語り継がれた方言による昔話三十一話と伝説十六話を網羅する。昔話はきのこの化け物・食わず女房・三枚のお札・笠地蔵・桃太郎・猿婿入り・ほととぎすの姉妹・人喰い鎮守・天女の羽衣・羅生門の鬼など、語り手(和泉田の五十嵐ヤスら各集落の伝承者)を明記して収める。