蓑笠を着せた爺婆に宝を運ぶ地蔵
どんな伝承か
貧しいが心のよい爺婆と、金持ちで欲深な爺婆が隣り合って住んでいた。大雨の日、貧しい爺が買い物に出ると、田の中の地蔵が雨に濡れていたので、自分の着ていたぼろ蓑と笠を脱いで着せてやった。その夜、爺と婆の宝だ、田んぼの中の地蔵だという声と荷車の音が近づき、戸が開いて何かが投げ込まれた。夜が明けると着物や米、味噌が山と置かれていた。話を聞いた隣の欲深な爺婆は真似をして、新しい蓑と笠を買って地蔵に着せ、明かりを灯して待った。同じ声と音がして投げ込まれたのは牛や馬の糞ばかりで、怒った二人は地蔵の着物を剥いで突き倒して帰ったが、地蔵はまたもとのぼろ蓑と笠を着て立っていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説(南郷村(編)・南郷村史)
『南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説』は、南郷村の村史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。奥会津に語られる昔話を方言のまま書きとめ、きのこの化け物、食わず女房、三枚のお札、天女の羽衣などを語り手の地区と名を添えて載せ、伝説では高倉宮以仁王、蛍堂、箱渕のきつね、萩山稲荷の萩太郎、天狗の飛礫などを伝える。昔話と第二節「伝説」に分かれ、末尾に参考資料の一覧を付す。