蓑笠を着せた爺婆に宝を運ぶ地蔵
どんな伝承か
貧しいが心のよい爺婆と、金持ちで欲深な爺婆が隣り合って住んでいた。大雨の日、貧しい爺が買い物に出ると、田の中の地蔵が雨に濡れていたので、自分の着ていたぼろ蓑と笠を脱いで着せてやった。その夜、爺と婆の宝だ、田んぼの中の地蔵だという声と荷車の音が近づき、戸が開いて何かが投げ込まれた。夜が明けると着物や米、味噌が山と置かれていた。話を聞いた隣の欲深な爺婆は真似をして、新しい蓑と笠を買って地蔵に着せ、明かりを灯して待った。同じ声と音がして投げ込まれたのは牛や馬の糞ばかりで、怒った二人は地蔵の着物を剥いで突き倒して帰ったが、地蔵はまたもとのぼろ蓑と笠を着て立っていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説(南郷村(編)・南郷村史・自治体史(民俗))
福島県南郷村(奥会津)に語り継がれた方言による昔話三十一話と伝説十六話を網羅する。昔話はきのこの化け物・食わず女房・三枚のお札・笠地蔵・桃太郎・猿婿入り・ほととぎすの姉妹・人喰い鎮守・天女の羽衣・羅生門の鬼など、語り手(和泉田の五十嵐ヤスら各集落の伝承者)を明記して収める。