乳母に化けて腕を取り返す羅生門の鬼
どんな伝承か
都の羅生門に毎晩鬼が出て人に悪さをするので、昼でも通る者がいなくなった。相談の末、勇気あるライコウが退治を頼まれ、夜になって門の入口に腰かけて待った。丑三つのころ地響きとともに現れた鬼がライコウの頭をつかんで吊り下げると、ライコウは慌てず刀を抜いてその腕を切り落とした。鬼は腕を捨てて山奥へ逃げた。毛むくじゃらの太い腕を占師に見せると、一週間は誰にも見せてはならぬと言われた。ある日、ライコウを育てた乳母の婆が訪ねてきて、どうしても見せろと泣いて頼むのでとうとう腕を出してしまった。婆は腕をひっくり返しながらこれこそわしの腕だと叫び、腕をつかんで山奥へ逃げ去った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説(南郷村(編)・南郷村史・自治体史(民俗))
福島県南郷村(奥会津)に語り継がれた方言による昔話三十一話と伝説十六話を網羅する。昔話はきのこの化け物・食わず女房・三枚のお札・笠地蔵・桃太郎・猿婿入り・ほととぎすの姉妹・人喰い鎮守・天女の羽衣・羅生門の鬼など、語り手(和泉田の五十嵐ヤスら各集落の伝承者)を明記して収める。