首の失せた新沼安芸守の地蔵
どんな伝承か
日頃市町坂本沢の奥に「ザルバタ」という所がある。往時ここには金山があり、日頃市郷を治めていた豪族新沼安芸守の支配下にあった。新沼氏は越喜来の越起守一族と争いが絶えなかったが、あるとき仲直りをしたいという書状が届き、安芸守は四人の家来だけを伴って赤坂峠へ赴いた。宴の席で膳に箸がないという嫌がらせを受けたが、素知らぬ顔で膳の端を小刀で切って箸にし、いち早く退散した。しかし追手に囲まれ、日頃市の小道で家来はことごとく斬られ、安芸守も首をはねられた。後に村人が霊を慰めて地蔵を建てたが、その首も割れて見えなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説(大船渡市(編)・大船渡市史)
『大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説』は、大船渡市が編んだ市史の民俗編である。この写しには、第六章「俚諺・俗信」の軽口・地口の類と、天候予知や吉凶の前兆、禁忌、呪法などの俗信、第七章「伝説・昔話」のうち伝説の節を収める。伝説は木・石、山、坂・洞穴・塚、水部、長者旧家、社寺・堂閣、地名などに分けて、五葉山や日頃市・末崎など市内各地の言い伝えを並べる。