懐に入り込んだ一寸八分の仏
どんな伝承か
日頃市町の大森部落に、ヒコソウ仏と呼ばれる小さな仏様が保存されている。昔、この部落に大屋という家があり、そこにヒコソウという人がいた。ヒコソウの首は鳥のように長く、そのうえ前後左右へ自由に動かすことができるという奇妙な首であった。ある日ヒコソウは森山と呼ばれる小高い山に登り、日当たりのよい斜面で休むうちについうとうとと眠ってしまった。枕元で何かカサカサと音がし、その音が身近になったかと思うと、懐に何かが入ったような気がした。カナヘビでも入ったのかと懐へ手を入れて取り出すと、一寸八分ほどの小さな仏様であった。ヒコソウは持ち帰って仏壇に安置し、以後代々家宝とされている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説(大船渡市(編)・大船渡市史)
『大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説』は、大船渡市が編んだ市史の民俗編である。この写しには、第六章「俚諺・俗信」の軽口・地口の類と、天候予知や吉凶の前兆、禁忌、呪法などの俗信、第七章「伝説・昔話」のうち伝説の節を収める。伝説は木・石、山、坂・洞穴・塚、水部、長者旧家、社寺・堂閣、地名などに分けて、五葉山や日頃市・末崎など市内各地の言い伝えを並べる。