手のない便所の神と落とし紙
どんな伝承か
便所については、生後七日目に行うセッチン参りが広く行われていた。子供の健やかな成長を願う呪いだが、子供が便所に落ちるのは吉相だとして、白子ではボタモチを作って祝うこともあった。湯本では便所の神はやかましいというが、どのような神なのかは分かっていない。ただ沢邸には、便所の神には手がないという言い伝えがあり、落とし紙を便所の中へ落としてはならないとされた。手のない神が、それを口でくわえねばならなくなるからだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
天栄村史 第4巻(民俗編)――憑依と怪異・呪術(天栄村(編)・天栄村史)
『天栄村史 第4巻(民俗編)――憑依と怪異・呪術』は、岩瀬郡天栄村が編んだ村史のうち民俗を扱う巻である。第八章「信仰伝承」では、旧村ごとの鎮守と鎮守以外の神々、寺院・仏堂・修験、家や生業の神々、道切りなどの呪術と禁忌、口寄せをするワカドノ、キツネツキ、オシンメイサマ、小豆洗いなどの妖怪、講を扱う。『白河風土記』や明治十一年の神社明細帳の記載と土地での聞き書きを照らし、近世から近代への移り変わりを記す。