和納の家を襲った鳴動と飛礫
どんな伝承か
弥彦山にほど近い岩室村の和納に伝わる、江戸の中ごろの出来事である。十月二十日を過ぎて雪が降り、寒さがつのったので、家の者が囲炉裏を囲んで雑炊をこしらえようとしていた。すると突然、屋根が鳴りだして物音が激しくなり、杓子が宙に舞い上がり、鍋までもが引き上げられてしまった。恐ろしくなって外へ逃げ出したが、家に入ろうとすると砂や石が飛んできて怪我をする。雪の日に落ちているはずのない礫が、やがて庭一面に積もった。鳴動は半時ほどでやみ、若者が屋根に上って調べても何もない。これが三日ばかり続き、家から人がいなくなると怪異も止んだ。『北国巡杖記』に和納の怪事として記されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪の民俗学――日本の見えない空間(宮田登・宮田登・民俗学・1985年(昭和60年))
『妖怪の民俗学――日本の見えない空間』は、宮田登が一九八五年(昭和六十年)に著した、妖怪の現れる場所を論じた民俗学の書である。柳田国男と井上円了の妖怪論、幽霊と妖怪の違い、口裂け女と産女、皿屋敷、化物屋敷と下女、辻・橋・境の怪異、怪光と怪音、七不思議、通り悪魔と髪切りを、古文献や新聞記事、各地の伝承から読み解く。四章から成り、都市の空間に妖怪が現れる仕組みを軸に据える。