貂のしわざとされた林松寺の怪火
どんな伝承か
維新前、越後新潟の林松寺でたびたび怪火が起こり、秋から冬にかけておよそ半年も続いたという。越前の寺の例と同じく、障子に不意に火が燃え上がることが何度もあったが、原因はとうとう分からずじまいだった。寺には大きな貂が棲んでいるのを見た人が大勢いたので、当時は貂のしわざだと決めつけられていた。円了は、これは貂にできることではなく、人のしわざか心の病によるもの、さもなければ燃えやすいガスの作用と考えるべきだとしている。
原典より
また維新前に、越後新潟の林松寺にしばしば怪火が起こり、秋から冬にかけて、およそ半年間続いたという。—— 井上円了 妖怪学講義(井上円了 著・平野威馬雄 編) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
井上円了 妖怪学講義(井上円了 著・平野威馬雄 編)
『井上円了 妖怪学講義』は、明治期に哲学館で講じられた井上円了の『妖怪学講義』から要所を選び、平野威馬雄が現代の文章に改めて編んだ抄録である。狐憑きや化物屋敷、怪火、幽霊、コックリなどを題材に、円了が古書から抜き出した記事、各地から寄せられた報告、円了自身の現地での調べを収める。原著の八部門のうち理学・心理学・宗教学・雑の四部門を章に立て、序で研究の経緯と分類を、結びで編者の見方を述べる。