江戸で語られた東武七不思議の奇譚
どんな伝承か
寛政のころ、江戸では東武七不思議というものが語られた。王子のあたりの桜、とりわけ飛鳥桜が季節はずれに返り咲いたこと。本所で八十歳の女が男児と女児を産んだこと。九十二歳の女が麻布で男児を産んだこと。鯨が品川の沖に入り込んだこと。そうした奇譚が七不思議として人々の口にのぼった。数は必ずしも七つに定まっていない。江戸にはこのほか麻布七不思議、本所七不思議、番町七不思議、下谷七不思議などが語り継がれていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪の民俗学――日本の見えない空間(宮田登・宮田登・民俗学・1985年(昭和60年))
『妖怪の民俗学――日本の見えない空間』は、宮田登が一九八五年(昭和六十年)に著した、妖怪の現れる場所を論じた民俗学の書である。柳田国男と井上円了の妖怪論、幽霊と妖怪の違い、口裂け女と産女、皿屋敷、化物屋敷と下女、辻・橋・境の怪異、怪光と怪音、七不思議、通り悪魔と髪切りを、古文献や新聞記事、各地の伝承から読み解く。四章から成り、都市の空間に妖怪が現れる仕組みを軸に据える。