七十歳の妻が懐妊した奇話
どんな伝承か
摂津国菟原郡葺合村の百姓・俵屋吉右衛門は当時七十五歳、妻も七十歳に達しており、長年子に恵まれず男女の養子を娶わせて家業を譲り、孫も数人ある隠居の身であった。ところがその年の二月ごろから老妻の腹が次第に膨れ、脹満の病かと医師に診せたところ、まぎれもない妊娠と判明し、老夫婦はもとより村中を驚かせた。古今未曾有の高齢懐妊として東京日日新聞にも報じられたという。
原典より
ところが、その年の二月ごろから七十になる老妻が、とかく気分がすぐれぬ様子であったが、そのうち、腹部がだんだんと膨れて来たので、…—— 日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著)
『日本怪奇集成-明治大正昭和篇』は、富岡直方が編んだ怪奇実話集である。明治元年から昭和七年までに各地で起きた幽霊や狐狸の怪、畸形や奇病、天変や奇瑞、世相の珍事を、当時の新聞・雑誌の記事と筆者自身の聞き書きから集めている。明治・大正・昭和の三篇に分け、話ごとに年月を掲げて通し番号を振り、新聞記事を引いたうえで紙名を末尾に添える形を基本とする。