史料三 慶応三年 比企郡番匠村 沼界並尾崎狐出訴一件
どんな伝承か
慶応3〜4年(1867-68)、比企郡番匠村。溜井の境界争いに付随し、村人乙の家に潜む悪狐『尾崎』が15-6年来、丙の娘ら20人余に憑いて熱病・死者を出したとされ、祓い祈禱に三両五両を散財。村が乙に狐封じ祈禱を強要し地頭役所へ訴訟。村民が感情的に激化し、幕末の混乱の中で決着せず終わった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近世史料にみる憑き物「オーサキ狐」の諸相(小池信一)
『近世史料にみる憑き物「オーサキ狐」の諸相』は、小池信一が著した、埼玉県に関わりの深い憑き物オーサキ狐を近世の古文書から論じた研究論文である。寛延四年の秩父郡三山村「おうさき」追放の再請書、天保六年の尾先狐追放教諭の触をめぐる村役人の願書、慶応三年から翌年にかけての比企郡番匠村の沼境と尾崎狐をめぐる出訴一件の三史料を翻刻する。はじめにで民俗調査から知られる俗信を六項目に整理し、各史料に解説を付す。