本牧芋大明神の疱瘡呪水
どんな伝承か
寛政八年の冬から九年の春にかけて疱瘡が流行した。小児科の木村元長によれば、ある一家の小児がみな軽い疱瘡で済んだのは、神奈川宿の先の本牧にある芋大明神の水を汲んで浴びせたためだと噂された。召使いが見てくると、まことに小さな社で、周りに溜り水の池があり、辺りは芋畑で、その芋は減りも増えもしないという。疱瘡によいと江戸からも大勢が水を汲みに来ると伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
科学的教養(小泉丹・小泉丹・科学論・1948年(昭和23年))
『科学的教養』は、小泉丹が昭和二十三年に春秋社から刊行した、科学的なものの見方を説く評論である。精確さ・合理性・実証の面から科学的と非科学的の違いを論じ、河童の記録や呪いの効き目、『耳袋』の怪異談、狐憑き、幽霊・化物屋敷、人魂・鬼火・怪火を例に、日本人のものの考え方を検討する。昭和十七年に書いた前版を戦後に改稿したもので、序と起序に続く七章から成り、旧稿の終わりの二章を除いたと序に記す。