火事を触れ回った火伏せ地蔵
どんな伝承か
新町字丹後坂の普賢寺の境内に、高さ二メートルもある地蔵が祀られている。金で出来ているので金仏地蔵と呼ばれる。仲町の堀に埋まっていたのを掘り出したものといい、もとは仲町の地蔵通りというところに立っていたそうである。ある年、仲町から火が出た。夜中のことで誰も気づかずにいると、火事だ火事だと大声で触れ回る者があり、その声で飛び起きた人々が慌てて消し止めて大事に至らなかった。声の主は誰か分からなかったが、地蔵通りの地蔵の足がひどく汚れているのに気づき、あの触れ声は地蔵であったということになって、以来火伏せ地蔵とも呼ばれるようになった。
原典より
新町字丹後坂の普賢寺境内に、高さ二mもある地蔵さまが祭られている。—— 小野町史 民俗編――伝説(小野町(編)・小野町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
小野町史 民俗編――伝説(小野町(編)・小野町史)
『小野町史 民俗編――伝説』は、小野町が編んだ町史の民俗編から、第九章「ことばと伝承」の第一節「伝説」を収めたものである。田村郡小野庄にあたる町内の館主や城主の没落、坂上田村麻呂や八幡太郎、小野篁・小野小町にまつわる話、デンスケ坊の祟り、河童の恩返し、大蛇や名石・埋宝の話など五十四編を、大半は地元の人からの聞き書きで収める。村川友彦の「はじめに」と地域の特色の解説を置き、伝説を大字(旧村)ごとに並べ、語り手の名を添える。