兄妹三人が見た亡き父の姿
どんな伝承か
明治四十四年九月中旬、島根県鹿足郡日原村の村役場員・岸田の家で、十三歳の少女が学校から帰宅すると家には誰もおらず、隣家へ嫁いだ姉と共に亡き父の居室の襖を開けると、五か月前に死去した実父が布団から身を起こすのを目にした。父は無言で立ち上がり座敷へ去って姿を消し、駆けつけた岸田も後ろ姿を見て追ったが、座敷には誰もおらず、襖や障子も開いていなかったため三人は茫然としたという。
原典より
それを見ると、五ヶ月前に死去した實父であるから驚きさまに「死んだお父さんが」と大聲に叫んだ。—— 心霊不滅(岡田建文・岡田建文・心霊研究・1940年(昭和15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊不滅(岡田建文・岡田建文・心霊研究・1940年(昭和15年))
『心霊不滅』は、岡田建文が著し、昭和十五年に大阪の国民書院が発行した心霊研究書である。人の心霊は肉体の死後も存続するという立場から、神道の神霊の垂示を引きつつ、心霊の本質と「化精」、遠感と魂の遊離、生霊、二重体、交霊術と霊媒、霊感筆記、幽霊写真などの物理現象、幽霊の出現を論じる。序説と七章からなり、第三・四・五・七章に「例一」「例二」と番号を付けた事例を並べ、今昔物語の説話、江戸から昭和の国内の見聞、欧米の報告を挙げる。