膳を貸してくれる金山のお竹狐
どんな伝承か
『静岡県伝説昔話集』が伝える狐の話。安倍川の西にある金山には、お竹という古狐が棲んでいた。葬式などで人が大勢集まり、出す膳が足りなくなったときには、金山のお竹のところへ借りに行こうといって、夜、山へ登る。そして何日の何時までに御膳が十五人分足りないから貸してくれ、と独り言のように唱えて帰ってくる。当日その場所へ行ってみると、近くの竹藪や林の中に、頼んだとおり十五人分の立派な膳がきちんとそろえてあった。これはお竹狐が用意してくれたものだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
暮しの中の妖怪たち(岩井宏実・岩井宏実・民俗学・1986年(昭和61年))
『暮しの中の妖怪たち』は、岩井宏實が昭和六十一年に著した妖怪の概説書である。鬼・天狗・河童から山姥、産女、雪女、怪火、ザシキワラシ、化け猫、狐狸、幽霊まで、各地の伝承や古典・絵画に見える妖怪を一つずつ取り上げ、その姿と仕業を説く。第I章で個々の妖怪を紹介し、第II章で妖怪の性格、出現の空間と時、正体を論じ、巻末に著者が資料とした妖怪の本の一覧とあとがきを置く。