干し柿の百姓人形を立てるチカライワイ
どんな伝承か
餅つきでは鏡餅の次にチカライワイをつく。一人がつきたての餅を手に持ち、もう一人が年神さんに向かってめでたしと三度唱えながら搗く真似をする。粉をふった大きな椀や主人の茶碗に、はみ出るほど詰めて固め、逆さにしてぽんと抜いたものを三宝に載せて神に供えた。家によっては干し柿で百姓姿の人形をこしらえ、胴巻きは昆布、鍬は松の軸とボール紙で作って、これをチカライワイの上に立て、元気で百姓ができますようにと祈った。一月二十日に砕き、焼くなり煮るなりして皆で食べる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
島根県出雲市大塚町民俗調査報告書――俗信・憑きもの(出雲市(編))
『島根県出雲市大塚町民俗調査報告書――俗信・憑きもの』は、出雲市大塚町の民俗調査報告書のうち、「XII 村の神」の章と「XIII 年中行事」の章の冒頭を収めたものである。氏神の大歳神社の祭りと由緒書、同族神・屋敷神・屋内神、札うち、講、寺、俗信、キツネに憑かれることを「サバラレル」と呼ぶ憑きもの、民間療法を、昭和五十七年ごろの聞き書きで記す。年中行事は正月準備から一月十一日の鎌初めまでで、文の途中で切れている。