紙に「此屋受罪」とだけ書く怪
どんな伝承か
同じく『耽奇漫録』に見える話。文政七年七月の初め、赤坂伝馬町一丁目に住む村木五郎左衛門の家で、夜に怪しいことが起こるようになった。ある夜、五郎左衛門は、何者が何のためにこうするのか、そのわけをこの紙に書いてみせよと書きつけ、紙と筆を机の上に置いておいた。すると「此屋受罪」の四字が書かれていた。この家の者は罪をつくったので報いを受けるのだという意味らしかった。これだけではよく分からない、もっと詳しく書けと書いて再び紙と筆を置いたが、何度試しても同じ四字しか書かれなかったという。
原典より
つまり、「此屋受罪」(この家の人は罪つくりだから、そのむくいを受けるのだ、という意味らしい)と書かれていた。—— 井上円了 妖怪学講義(井上円了 著・平野威馬雄 編) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
井上円了 妖怪学講義(井上円了 著・平野威馬雄 編)
『井上円了 妖怪学講義』は、明治期に哲学館で講じられた井上円了の『妖怪学講義』から要所を選び、平野威馬雄が現代の文章に改めて編んだ抄録である。狐憑きや化物屋敷、怪火、幽霊、コックリなどを題材に、円了が古書から抜き出した記事、各地から寄せられた報告、円了自身の現地での調べを収める。原著の八部門のうち理学・心理学・宗教学・雑の四部門を章に立て、序で研究の経緯と分類を、結びで編者の見方を述べる。