弥山を守る三鬼が示す天狗倒し
どんな伝承か
宮島の弥山には三鬼堂がある。『厳島道芝記』によると、杉や松が深く茂るこの山は三鬼に守られた霊地で、修行を名目に怠ける者には恐ろしい姿を見せて悩ませ、山に登らせずに里へ下らせた。またある時は神殿の夜番となって盗賊を脅かし、番の者の眠りを覚まして務めを助けたという。三鬼は島の者にもよそから来た者にも容赦せず、怠ける者があれば鬼の姿になってでも戒め、雪の朝の足跡や天狗倒し、天狗の笑い声といった怪異となって現れる。もとはこの山の神で、のちに神仏の守護神に退いたとされる。
原典より
三鬼は御山の守護神であり、島人外来者を問わず、懈怠の者があれば、鬼の姿になってでも容赦はせぬということで、…—— 広島県史 民俗編――伝説の分布(広島県(編)・広島県史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
広島県史 民俗編――伝説の分布(広島県(編)・広島県史)
『広島県史 民俗編――伝説の分布』は、広島県が編んだ県史民俗編のうち、「休養と娯楽」の部に置かれた「伝説の分布」の章である。八幡信仰にかかわる聖蹟伝説や炭焼長者、厳島をめぐる石神やうつぼ船の伝説、和泉式部・虎御前・菖蒲前を語り歩いた巫女の伝説、人柱や竜蛇の伝説などを、『芸藩通志』『福山志料』などを引いて論じる。「八幡信仰の流れ」「厳島伝説の周辺」「巫女と伝説」「県北の伝説」の四節からなり、伝説の名を見出しに立てて所在地とともに述べる。