鰯屋を追った婆を竈で焼く
どんな伝承か
鰯屋が村で鰯を売り歩き、葉山の原を帰る途中、背後から「鰯屋、鰯屋」と呼ぶ声に追われた。鰯をまき散らしては逃げ、灯りの見えた家に飛び込み、ただの家ではないと感じて梁に上がって様子をうかがうと、恐ろしい婆が入ってきて囲炉裏に餅を並べ居眠りを始めた。鰯屋は棒で餅を刺して食べてしまい、婆がへっついに潜り込んだ隙に薪を押し込んで焼き殺したという。もう一方の喰わず女房は、口のない嫁を望んだ欲深な旦那が口なしの女を貰うが、留守に倉の米を炊いて頭の真ん中の口で一櫃も食べていたという話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
成田市史 民俗編――昔話・伝説(成田市(編)・成田市史)
『成田市史 民俗編――昔話・伝説』は、成田市が編んだ市史の民俗編のうち、口承文芸の節を収めたものである。昭和五十二年から五十四年にかけての聞き書きをもとに、話者の一覧表を掲げ、喰わず女房や猫の踊などの昔話二十六話、多古の殿様などの笑話二十二話、七不思議・巨人・塚・坂・主の話など成田の伝説十二項を載せる。昔話と笑話の題には『日本昔話集成』の型番号を付し、語り始めの句や語りの場の解説を添え、末尾に世間話の節の冒頭を収める。