雨の夜に名乗った大阪の長姉の声
どんな伝承か
大正十年ごろ、千葉県成田市の家での出来事。長女が大阪へ嫁いで数年たったある夜、母は雨の中で玄関の戸をたたく音と、傘に当たる雨音にふと目を覚ました。起きて戸を開けたそのとき、「お母さん、とよ子ですよ」という声が聞こえた。翌日、大阪の家から長女が亡くなったという知らせが届いたと、母はしみじみと語った。人には魂というものがあるのだと、母は話していたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。