羽を抜いて機を織った鶴女房
どんな伝承か
千葉県成田市に伝わる異類女房譚二話。宝田の寺本氏の話によると、若者が矢で傷ついた鶴を助けて放してやると、若い娘が嫁にきて機を織り、正月には見事な反物を織り上げて暮らしを助けた。だが「機を織る所を見ないで」との約束を破って覗くと、羽をむしって機を織る鶴の姿があり、正体を見られた鶴は飛べぬ姿のまま去っていった。新妻の石橋ウメ氏が語る狸女房では、命を助けられた狸が娘に化けて恩返しに来て若者の嫁となり子をもうけたが、ある朝正体を現し、書き置きを残してオナバケ原へ去っていったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
成田市史 民俗編――昔話・伝説(成田市(編)・成田市史)
『成田市史 民俗編――昔話・伝説』は、成田市が編んだ市史の民俗編のうち、口承文芸の節を収めたものである。昭和五十二年から五十四年にかけての聞き書きをもとに、話者の一覧表を掲げ、喰わず女房や猫の踊などの昔話二十六話、多古の殿様などの笑話二十二話、七不思議・巨人・塚・坂・主の話など成田の伝説十二項を載せる。昔話と笑話の題には『日本昔話集成』の型番号を付し、語り始めの句や語りの場の解説を添え、末尾に世間話の節の冒頭を収める。