手拭と傘で訪ねてきた八匹の猫
どんな伝承か
仙台城下の石垣町に、吉田本左衛門という浪人がいた。手習師匠をし、妻とくは針仕事をしていた。子がないので猫を飼っていると、長屋に猫を捨てていく者が出てきたが、夫婦は嫌な顔もせず育て、一匹ずつ名をつけた。ある年、本左衛門は片倉家に召し抱えられることになり、残す八匹の猫を案じたが、長屋の者たちが分けて飼うと引き受けた。半年後の梅雨の午どき、役宅の戸を叩く音がした。手拭をかぶり傘をさした数人の客は、石垣町で飼っていた猫たちで、なつかしいので八匹揃って来たという。寛政年間の話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・昭和49年(1974年)頃)
東北怪談の旅(山田野理夫)/飢饉の非業の死と怨念/巫女(イタコ)の口寄せ/座敷童子・河童の怪/東北各地の幽霊伝承