口から火を吹く女を済度した一字一石の塚
どんな伝承か
法然上人が滝宮へ向かう道すがら、口から火を吐きながら宙をさまよう女に出会い、救ってほしいと願われた。上人は人々に小石を集めさせ、三部経の二万六千余字を一字ずつ石へ書き写させて塚を築くと、七日のあいだ経を読み続けた。読経が終わろうとするころ、炎を吐いていた女はようやく天へ昇っていった。以来、畑田の里は静けさを取り戻したと語り伝えられている。
原典より
法然上人が滝宮へ行かれる途中、女人が口から火を吹き宙に迷うのを済度して欲しいと頼まれた。—— 新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説(香川県(編)・新編香川叢書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説(香川県(編)・新編香川叢書)
『新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説』は、香川県の叢書の民俗篇のうち、第八編「口承文芸」を収めた部分である。香川県内の昔話と伝説を扱い、昭和初年からの採集の歩み、呼び名や発端・結末の句、桶屋やほうろく売り・遍路などの運び手、語り手の横顔を論じたうえで、綾上町などで聞いた未発表の昔話を話者名付きで掲げる。伝説の章は樹木・石と岩・水と池と渕・塚と穴・祠と堂・坂と山と峠と谷・動物の項目に分け、各話の末尾に伝承地の郡町名を添える。