馬を引き込む堂の沢の沼の主
どんな伝承か
堂の沢には沼があり、そこに馬を放しておくと沼にはまり込んで抜け出せなくなり、死んでしまうことがたびたびあったという。人々は、沼には主がいて馬を引きずり込むのだと言い合った。耕地整理が行われる前の新野には沼がいくつもあって、馬が落ちておぼれ死ぬことが珍しくなかったと話者は語る。新野はかつて馬の産地で、きびの実るころには馬市が立ち、博労が集まってにぎわったという。
原典より
沼に主がいて、馬をひきこんだ、といわれた。—— 新野民俗誌稿――長野県下伊那郡阿南町(口頭伝承)(湯田朝子(第十五章「口頭伝承」)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新野民俗誌稿――長野県下伊那郡阿南町(口頭伝承)(湯田朝子(第十五章「口頭伝承」))
『新野民俗誌稿――長野県下伊那郡阿南町(口頭伝承)』は、阿南町新野の民俗誌稿のうち、湯田朝子がまとめた第十五章「口頭伝承」の報告である。昭和五十三年一月に新野の古老五人から採話した昔話・伝説・ことわざ・なぞを収め、昔話には日本昔話名彙・日本昔話集成の話型を注し、伝説は信仰的・歴史的・文芸的の三つに分けて話者の名と生年を添える。昔話の語り始めと語り納めの形式や語りの場の変化も記し、ことわざとなぞで結ぶ。