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家を追われたマリヤと割礼の嘆き

所在地長崎県長崎市
年代伝承(口承)
登場エリザベト、マリヤの親類
出典日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗

どんな伝承か

『天地始之事』では、身ごもったマリヤの苦労が聖書よりも情け深く語られる。親類のエリザベトを訪ねる理由も身重のつらさを思いやってのこととされ、エリザベトの方も丸やを見舞おうと家を出て、二人は途中で出会い祝い合う。帰るとマリヤは、かつて王の求婚を喜んで受けていた父に、誰の子を宿したのかと激しく叱られて家を追われ、野や山に伏してさまよううちに子を産む。生まれた御子は牛馬の息で温められ、八日目の割礼を男根を切ることと取り違えたマリヤは驚いてすがりつき泣いたといい、御子の着物も蜘蛛の糸を集めて作ったと記されている。

原典より

八日目にキリストが受けた割礼の意味は、ユダヤの故事で、この田舎人にわかろうはずがないが、男根切断と誤解せられ、マリヤは「大きにおどろき、すがりつきてぞ、泣きたもう」のである。—— 日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか) より引用
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出典の文献について

日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)

『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。

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