入れば腹痛に襲われる琴が浦のシゲ
どんな伝承か
対馬には天童やシゲと呼ばれる山や茂みがあり、むやみに立ち入ると「腹がセク」といって激しい腹痛に襲われ、命を落とすことさえあるとされる。琴が浦のシゲもそのひとつで、雑木がうっそうと茂って昼でも暗く、祭りの日のほかは誰も入れないため、ふだん近づくといっそう気味が悪かった。茂みの中心には祠があって丸い石が神体として祀られ、祠には女性の髪が何束も掛けられていた。年に一度の祭りに願をかける人が置いていったものらしいと著者は記している。
原典より
さらに、対馬には、天童、シゲなどと呼ぶ山や繁地があって、みだりにこれに入ると腹がセクといって、猛烈な腹痛に襲われ一命を落すことさえあるとされている。—— 日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。