桃の枝で淫婦を撃つ鵜坂神社の神事
どんな伝承か
越中国婦負郡の鵜坂神社で五月十六日に行われる祭りでは、神主が桃の枝を手に取り、『和漢三才図会』によれば「淫婦を撃ちてこれを戒む」という所作をする。何を意味するのかはよく分からないが、著者は懲らしめのしぐさだろうと見る。神事の演技のうち、声を伴ったりして動作に意味が加わり劇的な要素を強めたものには、悪いものを懲らしめるしぐさが多いとして、その例に挙げられている。
原典より
越中婦負郡鵜坂神社の五月一六日の祭りには、神主が桃の枝をとり、「淫婦を撃ちてこれを戒む」(『和漢三才図会』)。—— 日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。