諸講を一つにまとめた万神講
どんな伝承か
庚申講は庚申の日の夕刻からヤドに集まり、簡単な勤行をして飲食をともにしながら徹夜をするのが、戦前までの一般的な姿であった。ところが土地によっては、庚申の日以外に特定の月の八日や一一月二三日などの別の日にも行ない、昼から集まるところもある。静岡県駿東郡裾野町葛山では、すべての講を集めて万神講に統合してしまっており、こうしたものは本然の姿ではなく、その土地特有の事情による江戸時代以降の習合であるとみられる。
原典より
すべての講を集めて万神講に統合してしまった静岡県駿東郡裾野町葛山の例—— 日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。