庚申講の人魚を食べた娘
どんな伝承か
松戸市上本郷に伝わる話。風早神社の前にある六軒新田の六人が、上本郷の長者屋敷の庚申講に招かれた。出かける前に一人が様子を見に行き、人魚の料理が出ると知れたので、皆で食べずに帰りに捨てようと申し合わせた。ところが六人のうち一人は耳が聞こえず、その相談がのみこめないまま料理を持ち帰り、娘に食べさせてしまった。娘は八百年生き、比丘尼となって若狭に住んだ。のちに千駄堀の者が旅先で、この老いた比丘尼に会ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。