神が靴でルシヘルを蹴落とす
どんな伝承か
長崎県外海地方に潜伏キリシタンが語り継いだ創世神話『天地始之事』の一節。霊のみで肉体を持たないはずの神デウスが人間のように目に見え言葉を話し、悪魔ルシヘルを靴で蹴り落としたという。ルシヘルはマサン(林檎)の実をエワに与え、木陰に隠れて事の成り行きを見ていたと語られる、聖書の物語が郷土風に変形された神話である。
原典より
霊のみで肉体がないカトリックの神も、ここでは人間のように目に見え、ことばを話し、ルシヘルを「靴で蹴り落とす」のである。—— 日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。